後悔だらけの配線計画──新築なのに延長コードが主役の家#column
要点まとめ
- 注文住宅でありがちな「コンセント配置の落とし穴」
- 家電の進化が暮らしと間取りに与える影響
- 配線計画で後悔しないための実践的なチェックリスト
- モデルハウス見学で得られる“動線と配線”のヒント
はじめに
夢のマイホームを建てる際、キッチンや収納、外観デザインなど、どうしても目立つところにばかり気を取られがちです。しかし、意外と見落とされやすいのが「コンセントの配置」。
この小さな見落としが、日々の暮らしに思わぬストレスをもたらすことも。今回は、せっかくの新居で延長コードに囲まれることになってしまったご家族の実例から、失敗しない配線計画の立て方をご紹介します。
【1】暮らして初めて気づく“足りない場所”
埼玉の郊外にマイホームを建てた高橋さん一家は、5人で快適な新生活をスタートさせる…はずでした。
ところが、入居からたった3ヶ月でリビングの隅は延長コードが何本も絡まり合い、家族の小さなイライラが日々積み重なっていくことに。
掃除ロボの充電、スマホの充電器、空気清浄機に間接照明。どれも今や生活に欠かせない家電ですが、コンセントが足りず、誰かが抜いては誰かが差す…そんな光景が日常に。
「建築中は、こんなに家電が増えるなんて思わなかったんです」と語る奥様の声が印象的でした。
【2】現代の家電と、昔ながらの間取りはミスマッチ
ここ数年で家庭用家電は大きく進化し、使用場所や設置条件も多様化しています。
- ロボット掃除機:決まった位置での充電が必要
- スマートスピーカー:音の届きやすい場所に設置
- 壁掛けテレビとその周辺機器:複雑な配線を想定
- コードレス掃除機やワイヤレス充電器:“充電ステーション”が複数必要
これらの機器に対応できない間取りでは、延長コードが常設され、見た目も機能性も損なわれてしまいます。
高橋さん宅でも、テレビ裏の2口コンセントでは到底足りず、電源タップが常にフル稼働状態に。
【3】「ここにも欲しかった!」と感じた場所とは?
生活が始まってから気づく「ここにあれば便利だったのに…」というポイントは意外に多いものです。高橋さん宅で後悔の声が上がったのは、こんな場所でした:
- ソファの横:スマホ・タブレットの充電スポット
- ダイニングの足元:ホットプレートや加湿器用
- 脱衣所の高所:除湿機やヒーター設置用
- 子ども部屋のベッド脇:ライト&充電コンセント
- 階段下収納:コードレス掃除機の充電用
また、スイッチの配置でも不便が。
「廊下の明かりが部屋の奥に行かないと消せない」
「キッチンからダイニングの照明が消せない」など、毎日の動きの中で感じる“ちょっとした不便”が積み重なっていくのです。

【4】図面だけでは分からない“動線と電源の相性”
高橋さん夫妻は口を揃えて「もっとモデルハウスで実際に“暮らすつもり”で歩き回ればよかった」と語ります。
多くの人が見学時に内装や設備ばかりに気を取られ、配線の細部までチェックすることは少ないもの。
でも実は、モデルハウスには生活を快適にする配線のヒントがたくさんあります。
- リビングの柱裏に設けられたスマホ充電用ポート
- パントリー内にあるサブ電源
- ベランダの防水コンセント
- 階段の途中に設置された照明スイッチ
「この位置にあって助かる」「ここにも必要だった」そんなリアルな気づきは、見学の中でしか得られません。
【5】配線ミスを避けるための5ステップ
後悔しないコンセント配置のために、以下の5つのステップをぜひ実践してください。
- 一日の生活動線を描き出す
→ 朝起きてから寝るまで、どこで何を使うかを具体的に - 「今の家電」+「これから導入したい家電」も想定
→ 未来のライフスタイルも加味する視点が重要 - ちょっとした充電や家電使用場所をチェック
→ ベッドやソファ、ダイニング周辺は要チェック - モデルハウスで“家電を置く前提”で体験する
→ 実際にスマホ片手に動いてみるのがおすすめ - 設計担当と“家電ごとの電源リスト”を作る
→ 提案された位置に対して「実際に使えるか」を検証
まとめ:「未来の暮らし」にフィットする配線計画を
間取りやデザインだけでなく、「電源がどこにあるか」が、家の快適さを大きく左右します。
「この場所にはいらないと思った」
「まさか延長コードが常設になるとは…」
そんな後悔をしないためには、図面を“使い方の視点”で見直すこと。そして、それを体感できる場所がモデルハウスなのです。
家電の配置、暮らしの動線、電源の使いやすさ──これらを実際に歩きながら確かめて、あなたの理想の家を完成させてください。
未来の自分が「選んでよかった」と思える家づくりは、細かな電源計画から始まります。