水も空気も“見えない敵”。壁の中のトラブルと、家を守る秘策とは? #column

はじめに:パッと見じゃわからない、壁の中の世界

「家は見た目が9割」なんて言いますが、本当に大事なのはむしろ“見えないところ”。特に、外壁の内側は湿気や雨水がたまりやすい危険ゾーン。そこがきちんと守られていないと、壁の中でカビが生えたり、木材が腐ったり……じつは家の寿命に直結するトラブルがひそんでいるんです。

この記事では、壁の中で起こりがちな問題と、それを防ぐための“通気”と“防水”の仕組みを徹底解剖。プロの視点から、だけどわかりやすく!をモットーに、家づくりで絶対に見逃したくないポイントをまとめました。

blue house photography

この記事を読めばわかること

  • 壁の中で起こるカビ・腐食のメカニズム
  • 防水シートが果たす超・重要な役割
  • 通気層って何?なぜ必要?
  • 外壁施工でありがちなNG例
  • 施主ができる“見えない部分”の確認法

壁の裏で何が起きている?

外壁がボロボロになるより怖いのが、“中”で進行する劣化。雨の日も風の日も家を守ってくれる外壁、その内側で何が起きているか知っていますか?

カビ、腐食、断熱材の劣化……その原因のほとんどは「湿気」です。雨水の侵入や、室内との温度差による結露が、壁の中にたまってしまう。放っておくと、木材が腐ったり、カビが繁殖してアレルギーの原因になることも。

特に最近の家は高気密・高断熱。だからこそ、湿気の出口がないと“サウナ状態”になりかねないんです。

防水シートの出番!その働き、かなり優秀

家の外壁の下にこっそり潜んでいるのが「防水シート(透湿防水シート)」。これ、ただのビニールじゃありません。外からの雨はピシャッと弾き、内側の湿気はスーッと外へ逃がす。まるで“家の呼吸”をコントロールする肺のような存在です。

防水シートの主な役割

  • 外の雨水をストップ!
  • 中の湿気を外へリリース
  • 木材や断熱材を湿気から守る

たとえば、サイディングなどの外壁材って、実は完全防水じゃないんです。小さな隙間やヒビから水が入り込むことも。そこで防水シートが一枚かんでくることで、雨の侵入をシャットアウトしつつ、内部の湿気も自然と放出できるんですね。

通気層は、家の“換気ダクト”みたいなもの

「防水だけじゃ足りないの?」と思ったあなた、するどい。そう、もう一歩踏み込むと重要なのが「通気層」の存在です。

これは、防水シートの外側と外壁材の間に設けられた、空気の通り道。このスキマがあることで、壁の中の湿気や熱が自然と上昇して抜けていく──つまり、“自然換気”ができるというわけです。

通気層のメリット

  • 湿気をためこまない!結露を防ぐ
  • 夏場の熱気もスルーして断熱効果UP
  • 外壁材の長寿命化にも貢献

この一手間があるだけで、家の“空気のめぐり”が格段によくなるんです。

よくある施工ミス、ここに注意!

どれだけ高性能な素材を使っても、施工が甘ければ水の泡。実は意外と多いのが、防水シートや通気層に関する施工ミスです。

こんなミス、ありませんか?

  • シートの重ねが浅くて水が入り込む
  • 通気層のスキマがふさがれている
  • 透湿性のないシートを誤って使用

これ、どれか一つでもやってしまうと、あっという間に“湿気の巣”が完成。湿気はカビに、カビは腐食に……と、ドミノ倒し的にダメージが広がってしまいます。

どうすれば防げる?施主ができる対策

「見えないから仕方ない」とあきらめるのは早い!施主でもチェックできること、意外とたくさんあるんです。

チェックポイント

  • 防水シートの種類を確認(透湿性アリ?)
  • 通気層の厚みや通気経路の有無
  • 工事中の写真を記録してもらう(要お願い)

見えなくなる前に記録しておくこと。そして、信頼できる工務店や設計士に「通気と防水、大丈夫ですか?」と一声かけること。たったそれだけでも、トラブルをぐっと減らせます。

まとめ:家を守るのは、目に見えない工夫だった

外壁の見た目がどんなに美しくても、その内側がボロボロでは本末転倒。防水シートと通気層、どちらも“家の健康”を守るための必須装備です。

とくに日本の気候は、雨が多くて湿気も高め。だからこそ、こうした見えない工夫が、家の寿命を大きく左右します。

これから家を建てる人も、今住んでいる家をチェックしたい人も。「壁の中、ちゃんと守られてるかな?」そんな視点を持っておくと、安心して長く暮らせる家に一歩近づけますよ。