自然素材の家を選ぶなら。美しさだけに惑わされない住まいづくり #column
見た目に惹かれても、素材選びは慎重に
「木の香りがする家に住みたい」
「漆喰の壁って、なんだか空気がきれいそう」
そんなイメージから自然素材の家に興味を持つ方も多いはず。
ですが、自然素材の家は“心地よさ”だけで語れるものではありません。
見た目の魅力に惹かれる一方で、メンテナンス性やコストの問題など、現実的な視点も欠かせないのです。
この記事では、自然素材の特徴と向き合い方を、建築の実務目線で整理。
理想と現実のバランスをとりながら、納得のいく家づくりをサポートします。
この記事を読めばわかること
- 自然素材の家が選ばれる理由と特徴
- メリットとデメリットの両面からの理解
- 後悔を防ぐ素材選びと設計のポイント
- 長く快適に住まうための現実的なヒント
自然素材の家ってどんな家?
自然素材の家とは、木、土、石、紙など自然由来の建材を用いた住宅のこと。
有害な化学物質の放散が少ないため、健康志向の高いご家庭を中心に支持されています。
主な素材例:
- 無垢材(床・壁・建具):木目の美しさと肌触りの良さが魅力
- 漆喰(内壁):吸湿性・防火性に優れる塗り壁材
- 珪藻土(内壁):調湿・消臭効果があり、優しい質感
- 和紙(建具・照明):柔らかい光と独特の風合い

メリット|自然素材が持つやさしさと強さ
健康的な空気環境を保ちやすい
ビニールクロスや合板に含まれる化学物質を抑えられるため、シックハウス症候群などのリスクを軽減できます。
調湿性による快適な室内環境
漆喰や珪藻土、無垢材は湿度を自然に調節する働きがあり、夏はカラッと、冬は乾燥を和らげてくれます。
経年変化が味になる
素材の表情が時とともに変化するため、古びるのではなく「育つ」家に。住む人と一緒に年を重ねていく感覚が得られます。
視覚的にも心理的にもやさしい
木目や和紙の柔らかなテクスチャーは、視覚的な癒しにつながり、家にいる時間を穏やかにしてくれます。
デメリット|使いこなすには覚悟も必要
お手入れに手間がかかる
無垢材はキズやシミがつきやすく、漆喰はひび割れることもあります。メンテナンスを“楽しめる”意識が求められます。
素材によってはクセも
木材は湿度で伸縮し、建具の立て付けに影響することも。珪藻土は強い衝撃でポロポロと剥がれる場合があります。
建築費が高くなる傾向
自然素材は材料コストだけでなく、施工にも技術を要するため、一般的な建材より費用が上がるケースが多いです。
後悔しない自然素材とのつき合い方
素材選びは「こだわる範囲」を決めることから
全面自然素材で統一しなくても、床や壁の一部など“触れる場所”に限定する方法もあります。
暮らし方との相性を確認
小さな子どもがいたり、ペットがいるご家庭では、汚れやすい素材の扱いに気をつけましょう。 家族構成やライフスタイルとの相性を見極めて。
メンテナンスコストも計画に含める
10年後、20年後にどんな補修が必要になるかも踏まえて、初期コストとのバランスを検討しましょう。
経験豊富な専門家に相談する
自然素材の施工はノウハウが必要。素材の特性に詳しい工務店や設計士に相談することで、失敗のリスクを減らせます。
まとめ|“心地よさ”は、納得の積み重ねから
自然素材の家は、見た目だけでなく“空気感”や“肌ざわり”まで住み心地を大きく左右します。 けれど、その快適さを維持するには、素材への理解と適切な設計が不可欠。
「なんとなく良さそう」ではなく、「こういう暮らしがしたいから、自然素材を選ぶ」 そんな明確な理由を持つことが、後悔しない家づくりの第一歩です。
素材と上手に向き合い、自分たちらしい“心地よさ”を手に入れましょう。