坪単価60万円」はあてにならない?その数字のウラに潜む“見積りの罠”を知るだけで、家づくりはもっと賢くなる #column
この記事を読めば分かること
- 「坪単価60万円」の意味と仕組み
- 坪単価が家によって変わる3つの理由
- 本体工事費・付帯工事費・諸経費の内訳
- 予算の立て方と費用の考え方
- 比較・見積りで損しない住宅選びの方法
はじめに
日曜の昼下がり、あなたは住宅展示場のモデルハウスでふかふかのソファに腰を下ろし、営業担当の説明を聞いています。
「こちらの家は、坪単価60万円で建てられますよ」と言われて、「おっ、意外と安いかも」と思ったあなた。けれど、その数字、本当に安心して信じて大丈夫でしょうか?
家づくりのはじめに登場する「坪単価」という数字。
実はこれ、知らないと損するカラクリがたくさん隠れているんです。見かけは安くても、あとからどんどん追加費用が膨らむ…そんなトラブルを避けるために、この記事では坪単価の本当の意味、注意点、そして正しい家づくりの進め方を、中学2年生でも分かるように、わかりやすく解説していきます。
坪単価60万円の正体とは?
そもそも「坪単価」とは、家の1坪(=約3.3㎡)を建てるのにかかる金額のこと。国が発表した建築費データから「平均60万円」という数字が生まれています。
たとえば延床面積30坪の家なら、60万円×30坪=1,800万円が目安になるわけですが――
ここで注意してほしいのが、「この金額は本体工事費だけ」ということです。つまり、実際に住める家になるまでの“全部込み”ではないんです。
家の構造で、坪単価は大きく変わる!
実は、家の構造によってこの坪単価は大きく違ってきます。
- 木造:55〜60万円ほど
- 鉄骨造:80〜90万円
- RC造(鉄筋コンクリート):90万円以上
木造は比較的コストが抑えられますが、鉄骨やRCになると耐久性は高くなる代わりに、費用も跳ね上がります。
たとえば、木造住宅は自然のあたたかさを感じられるナチュラルなリビング、RC造はまるで美術館のような重厚感――あなたが思い描く暮らしによって、構造を選ぶ基準も変わってきます。
坪単価の数字に隠された「3つの落とし穴」
1. 「面積の定義」がバラバラ
施工会社によって、「延床面積」と「施工床面積」のどちらで坪単価を出しているかが違います。
延床面積は居住スペースのみですが、施工床面積はベランダ・玄関ポーチなども含むため、同じ金額でも坪単価が安く見えるのです。
2. 本体工事費だけを表示
坪単価には、玄関ドア・キッチン・外構・照明・エアコンなどの「住むために必要な工事費」が含まれていないことがほとんど。
本体以外にかかる費用が別で積み上がっていくので、結果として見積もりと最終金額に大きなギャップが生まれます。
3. 仕様や設備で追加費用が発生
「オプション工事」という名前で、キッチンのグレードアップや床暖房など、追加したい設備がどんどん金額を押し上げます。
“最初は安かったのに、気づけば予算オーバー”というのは、よくある話です。
家づくりの費用は3階建てで考える
注文住宅の費用は、以下の3つに分かれています。
- 本体工事費(全体の約75%)
建物そのものをつくる費用。 - 付帯工事費(約20%)
水道・ガス・電気の工事、外構工事など。 - 諸経費(約5%)
登記費用、住宅ローン手数料、火災保険など。
つまり「坪単価60万円」で建てる家も、実際はその1.3倍〜1.5倍の金額がかかると考えておいた方が安心です。
家づくりは「予算から逆算」するのが成功のカギ
家のプランや土地選びを始める前に、まずは予算をしっかり固めることが大切です。
- 自己資金はいくら出せるのか?
- 月々いくらまでローン返済できるか?
- 頭金・諸経費を引いたうえで、家にかけられる費用はいくらか?
この“家づくりの上限額”を先に決めておくことで、オーバーする不安も、あとから慌てるリスクも減らせます。

複数社から見積もりをとるのがコスパ最強の秘訣
同じ30坪の家でも、会社によって数百万円の差が出ることもあります。
なぜなら、材料費の仕入れ先や施工の手間、経営体制などが全然違うから。
だからこそ、家づくりを始めるときは必ず
- 条件を揃えたうえで
- 複数の会社に見積もりを依頼して
- 構造・仕様・金額のバランスを比較する
これだけで、あなたの家づくりの成功率は大きく上がります。
まとめ
- 坪単価60万円は「本体工事費」の目安で、実際の総費用とは異なる
- 家の構造や面積の算出方法で、坪単価は大きく変わる
- 見積もりには本体以外の費用も含めて考えることが重要
- 住宅費用は「本体+付帯+諸経費」で考えると安心
- まずは予算上限を決めて、その範囲内で最適な家を設計する
- 複数社からの見積り比較が“コスパ最強のマイホーム”への近道