和室は必要？それとも不要？新築で悩む「和の空間」との付き合い方 #column

「新築住宅に和室って、まだ必要なのかな？」

家づくりのプランを考えるなかで、一度は頭をよぎるこの疑問。かつては当たり前のようにあった和室も、最近ではその有無で意見が分かれることが増えてきました。洋風のライフスタイルが定着した今だからこそ、和室を取り入れるかどうかは慎重に考えたいところです。

この記事では、和室を設けることのメリットとデメリット、快適に使いこなすための工夫などを丁寧に解説。暮らしにフィットする選択肢を見つけるヒントとしてご活用ください。

この記事を読めばわかること

• 新築住宅に和室をつくるメリットとデメリット
• 和室があると便利なライフシーンとは？
• 和室をより快適に活用するための工夫
• 和室なしの間取りを選ぶ際の注意点

1. 和室をつくるメリットとは？

和室には、他の空間にはない独自の魅力があります。単なる「昔ながらの部屋」ではなく、今の暮らしに取り入れることで、さまざまな役割を果たしてくれます。

● 多用途に使える柔軟性

和室は、家具の配置に縛られず、使い方を自由に変えられるのが特長です。

• 来客時の応接スペースに
• 昼寝やストレッチの場所に
• 子どもの遊び場やおむつ替えコーナーに
• 将来的な親の介護スペースとして

畳の上でゴロンと横になれる手軽さは、フローリングにはない魅力です。

● 空間にゆとりと落ち着きをもたらす

和室には、どこか「気持ちが緩む」独特の空気感があります。自然素材の畳や障子のやわらかな光は、視覚的にも精神的にも安らぎをもたらしてくれます。

● 収納力の高さ

押入れや床の間など、和室には収納スペースが組み込まれていることが多く、布団や季節のアイテムをすっきり片付けられます。

2. 和室をつくるデメリットと注意点

一方で、現代の生活スタイルには合わない点もあります。メリットだけで判断せず、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

● 掃除やメンテナンスがやや手間

畳は湿気や汚れに弱く、定期的なメンテナンス（表替え・裏返し）が必要です。ペットや小さなお子さんがいる家庭では、飲み物のこぼしや爪による傷が気になる場面も。

● 使用頻度が低くなりがち

ライフスタイルによっては、和室の出番が少なくなることもあります。ダイニングキッチンやリビングで事足りる場合、結果的に「使ってない部屋」になってしまう可能性も。

● 住宅全体の雰囲気に合わない場合も

モダンでシンプルな内装に、伝統的な和室がミスマッチになることもあります。空間の統一感を重視したい場合は、デザインの工夫が必要です。

3. 和室を快適に使いこなすための工夫

和室を設けるなら、「使いこなせるかどうか」も重要な視点です。日々の暮らしに自然に溶け込む工夫を取り入れましょう。

● 畳スペースをリビングに組み込む

いわゆる“畳コーナー”のように、リビングの一角に畳スペースを設けることで、家族が集まる場として活用できます。段差をつけて小上がりにすれば、収納スペースも確保できて一石二鳥です。

● 洋風インテリアと融合させる

縁なし畳や琉球畳を使えば、モダンな雰囲気にもなじみやすくなります。照明や壁紙も和風にこだわりすぎず、全体のトーンを揃えることで、統一感のある空間が生まれます。

● 将来を見据えて配置を考える

将来的に親世代との同居や介護が想定される場合、1階に和室を設けておくと安心です。バリアフリー対応や寝室としての使いやすさも考慮して設計しましょう。

4. あえて「和室なし」を選ぶときの視点

和室をつくらない選択も、もちろんアリです。ただし、その場合も以下の点に注意しておくと安心です。

● 多目的スペースの確保

来客対応や子どものお昼寝、ちょっとした作業スペースなど、和室が担っていた「ゆるやかな空間」は、洋室でも工夫次第で補えます。リビングの一角にクッションフロアを敷いたり、引き戸で仕切れる空間を設けたりと、代替案を考えておきましょう。

● 収納の確保

押入れがない分、クローゼットや造作収納で機能性をカバーする必要があります。布団の収納場所をどうするかも事前に検討しておきたいポイントです。

● 将来的な使い道を考える

「今は使わないけど将来必要になるかも…」というケースでは、フレキシブルな空間づくりがおすすめです。可変性のある間取りにしておけば、後から和室にリフォームすることも可能です。

まとめ

和室を取り入れるかどうかは、「いる・いらない」ではなく「どう暮らしたいか」で決めるのがベスト。

柔軟に使える空間がほしい、くつろぎのスペースがあると嬉しい、将来のために備えておきたい――そんな方には、和室は暮らしを豊かにしてくれる選択肢となるでしょう。

一方で、掃除や使い勝手に不安がある場合は、和の要素を取り入れた洋風空間を工夫するのもおすすめです。自分たちらしい家づくりに合ったスタイルを見つけてみてください。