停電も断水も怖くない。非常時に強い家をつくるための設備&習慣リスト #column

ある晩、突然の停電で室内が真っ暗になったとします。冷蔵庫は沈黙し、蛇口をひねっても水は一滴も出ない。
映画のワンシーンのようですが、台風、地震、大雪、突発的な工事など、私たちの生活の中でこうした事態は決して珍しくありません。

実際、筆者も数年前の台風で半日間の停電と断水を経験しました。懐中電灯は電池切れ、スマートフォンの残量は10%。あのとき痛感したのは「事前の備えがすべて」ということです。

この記事では、停電・断水それぞれの影響と、住宅の防災性能を高める具体的な設備、導入のポイント、そして日常からできる備えの習慣まで、体系的に整理してお伝えします。

本記事でわかること

  • 停電・断水が生活に与える影響
  • 停電時に有効な住宅設備と選び方
  • 断水時に有効な住宅設備と用途
  • 設備導入の注意点
  • 普段からの備えの習慣化方法

1. 停電・断水が引き起こす生活への影響

停電と断水は別の事象に見えて、実際には連鎖的に生活を不便にします。

停電による影響

  • 照明、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、給湯器など、ほぼすべての電化製品が停止。
  • オール電化住宅では、調理や給湯まで止まり、生活機能が大幅に制限されます。

断水による影響

  • 飲料水が確保できない。
  • トイレ、手洗い、洗濯、掃除が困難になる。
  • 給湯器が作動せず、お風呂やシャワーも使えなくなる。

また、高層マンションや井戸水利用住宅では、停電が水道ポンプを停止させるため「停電=断水」となるケースも少なくありません。

2. 停電時に役立つ住宅設備

蓄電池

  • 太陽光発電と併用すれば、発電した電気を貯めて夜間や停電時に使用可能。
  • 冷蔵庫、照明、スマホ充電など「命を守る電源」を確保できます。
選定ポイント
  • 停電時に自動切替できる機種を選ぶ。
  • 必要な消費電力(例:冷蔵庫100W、LED照明10〜20W、スマホ充電5W)を把握し、容量を決める。

ポータブル電源

  • 工事不要で導入でき、室内外問わず利用可能。
  • キャンプや車中泊にも流用でき、ソーラーパネル併用で充電自立も可能。
用途例
  • 照明、スマホ、ノートPCなど小型家電への給電。

停電対応型照明(非常灯)

  • 停電を感知すると自動点灯するLEDライト。
  • 階段、廊下、玄関など転倒リスクの高い場所に有効。

カセットガスコンロ

  • オール電化住宅でも、停電時に温かい食事を作れる。
  • ボンベは最低数本を常備。
stainless steel coffee pot on blue and silver coffee maker

3. 断水時に役立つ住宅設備

貯水タンク

  • 屋外設置型で雨水や井戸水を貯め、庭の水やりやトイレ流しに利用可能。
  • 飲料水には不向きですが、生活用水確保に有効。

浄水器・ポータブル浄水ボトル

  • 井戸水や雨水を飲料水に変換可能。
  • アウトドア向け製品は持ち運びでき、災害時の水確保に役立つ。

水道直結型非常用水タンク

  • 平時は水道水を循環し、断水時にはタンク内の水を使用可能。
  • 容量は100〜500Lが一般的。

簡易トイレ

  • 凝固剤入りで衛生的に処理可能。
  • 断水時の最大の課題であるトイレ問題を軽減。

4. 設備導入時の注意点

  • 容量と稼働時間を確認
     蓄電池やポータブル電源は、消費電力に応じた稼働時間を事前に把握する。
  • 定期メンテナンス
     バッテリーは数年で劣化するため、点検・交換スケジュールを組む。
  • 保管場所の確保
     非常用品は、家族全員がすぐ取り出せる位置に置く。

5. 日常からできる備えの習慣

  • 飲料水は1人1日3Lを3日分以上ストックする。
  • モバイルバッテリーは常時フル充電状態を維持。
  • 防災用品の点検日を年2回設定し、在庫や劣化状況を確認。

まとめ

停電や断水は、いつ起きても不思議ではありません。しかし、適切な設備と日常的な備蓄習慣があれば、非常時でも冷静な対応が可能です。

家づくりやリフォームの際は、蓄電池や非常用水タンクなど「平時にも役立ち、非常時に力を発揮する設備」を組み込むことで、暮らしの安心度は格段に向上します。

災害への備えは、日常の快適さをも支える投資です。